編集長コラム 第20回「関西の2人のお天気おじさん」

編集長

9月、台風シーズン到来。

台風が近付くと、その進路に釘付けになるのが人の常。

私も例に漏れず、「楽しみな予定」がある前の台風事情は特に、30分おきに知りたい方だ。

この季節が来ると思い出す2人のおじさんがいる。

福井敏雄さんと今出東二さん。

どちらも関西を代表する元・お天気おじさん。

独自の文化を異常に発展させている関西ローカル界隈には、他にも何人もの名物お天気おじさん(お兄さん、お姉さん含む)がいる。

正木さんの「見た目が何十年も一切変わらないスゴさ」や、蓬莱さんの「スケッチ予報にかける惜しみない労力」にも後ろ髪をひかれつつ、個人的にはやっぱり福井さんと今出さんを推したい。

今回調べてみて驚いたのは、福井さんは、なんと大正時代のお生まれだった。

小さい頃、テレビでフツーに見ていた人が大正時代の人だったなんて、なんだか感慨深い。

そして1989年12月をもってお天気キャスターを降板されていたのも驚きだった。

当時6歳だった私に、福井さんの天気予報の記憶があまりにもしっかり残っているからだ。

「カンレージェンシェン!」をはじめとする「さ」行の発音が「しゃ」行になってしまうのは、ご出身地の方言の影響だったことも初めて知った。

そして何より、福井さんは気象予報士の資格をお持ちじゃなかったことが衝撃的だった。

その理由は、気象予報士という資格ができたのが、福井さんがすでに引退後の1994年からだからということらしい。

福井さんはもうこの世を去られて久しいが、あの個性あふれる天気予報をリアルタイムで見れていた自分は幸せやなぁ、と思った生粋の関西ローカル偏愛テレビっ子だった私。

今出さんは2015年まで、今や伝説の番組「ちちんぷいぷい」及びその後のニュース番組で天気予報を担当されていたので、まだ記憶に新しい方も多いだろう。

今出さんは癒し系の愛されキャラでイジられキャラだった。

予報が外れた翌日の放送では、まず月亭八光やたむけんやなるみ姉さんに「ちょっと今出さん!どーゆーことなんですか!きっちり説明してくださいよ!」と詰められる所から始まるのがお決まりで、それに対して本気で申し訳なさそうに「すみません、すみません!」と謝りちらかす姿が視聴者にウケていた。

「今日は雨の心配はありません!」と言った日の夜にレーダーで感知できないレベルの雨が降ったり、台風の進路が突然それたりしたのは、決して今出さんのせいでは無いにも関わらず、「本当に大変申し訳ありませんでした!」と真摯に謝る姿には毎回胸を打たれたし、プロ意識の高さに尊敬の念も抱いた。

「明日は雨です」と普通に言えばいいところを「すいませんが、明日は雨が降ってしまいます…」とまた自己責任的に言うから、芸人さん方に「えー!なんでなんですか!」と拾われてしまって、よく大汗をかいていらした。

逆に「昨日は今出さんの言ってた通り、夜、雨、やみましたね!すごいじゃないですか!」と褒められても「いえいえ、とんでもないです!」と頭と手をぶんぶん横に振りながら、ナゼかいつも全力で謙遜されていた。

言い訳の上手さ、切り返しの上手さが見事な「頭の回転早い系」お天気おじさんもいるけれど、私は今出さんの誠意があって朴訥としてて、いつもどこか怯えた感じの天気予報が好きだった。

降っても晴れても、とりあえず今出さんのせいにしとけばいい、という安心感を視聴者に与えてくれていたのもお見事だった。

次世代を担う関西のお天気おじさん(お兄さん、お姉さん含む)の後継者は、一体どんな人が現れるんだろう。

EXIT的な感じであることは、もはや大前提なんだろうか。関西という土地柄、せめて見取り図系でお願いしたいところだ。

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神戸を愛し神戸に愛され続けて38年😆👍(つまり38歳)人と喋ることと文章書くことが好き過ぎて、うっかり編集長になってしまったタイプです。神戸及び兵庫県の『人』をクローズアップしたインタビュー記事をメインに、神戸っ子たちのコラムも充実♫ 地元の人にも神戸以外の人にも、軽〜く友達感覚で読んでもらえたらうれしいです😊💓

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