【神戸生まれ神戸育ち プロ野球のスタジアムMC 神戸佑輔さん】

インタビュー

出会いはほっともっとフィールドではなく、高砂球場だった。

3年前の夏、高校野球中継の実況アナウンサーとしてお越しだった神戸さんと、そのアシスト役であるスコアラーの私は、バックネット裏の放送席で出会い、挨拶を交わした。

いかついスキンヘッドに似つかわしくないベビーフェイスの神戸さんは笑顔で丁寧な挨拶をしてくださった。

「この人、間違いなく良い人やわ」
その第一印象は覆ることなく、それ以来私たちは仕事を超えた友情で結ばれた。

誠実な仕事をする神戸さん

放送席で話していたら、私と同じく神戸生まれ神戸育ちの神戸さん(ややこしい)は、なんとオリックスのスタジアムMCをされていることが発覚し「あの声の人か!」と、とても驚いたし、あまりにも神戸と縁があることにも「へぇ〜」と思った。

オフィスキィワードというMCやナレーターの事務所に所属する神戸さんは、スタジアムMC以外にも様々な仕事をしていて、高校野球中継の実況もその1つ。

感心したのは、解説に来られる方の経歴をしっかり頭に入れて来ていて、試合前に積極的にコミュニケーションを取っていたこと。

局アナではないその日限りのフリーアナウンサーの方で、ここまでしっかりした仕事をする人は全員が全員じゃないので、見ていて気持ちの良い対応だった。

解説者の人も自分のことを知ってくれているのがうれしかった様子で、とても饒舌に話しておられて、私まで勉強になってありがたかった。

それから神戸さんと私は、試合帰りの電車で、モザイクのカフェで、ひたすら神戸の話をする仲になっていった。

神戸さんは2021〜2022年に掛けて神戸市広報が運営する公式アカウント「my sweet kobe」で神戸の魅力を伝えるライターとしても活動されていて、神戸のことにとても詳しく、話していてとても楽しかった。

神戸生まれ神戸育ちの野球少年だった

6才まで垂水で育ち、その後は王子公園で過ごしてきた神戸さん。
垂水の高丸幼稚園から灘区の福住小学校、上野中学を経て育英高校に進学。

高校時代から定期の範囲内で神戸を歩き回るのが好きだった。

神戸さんにとって、神戸の原風景は垂水。
福田川周辺の街並みに今でも強い郷愁を感じるという。

御影高校の野球部出身で阪急ブレーブスのファンだった父の影響で、小2の頃からソフトボールを始め、オリックスの試合を見に行ったりするようになり、小学生時代の夢はプロ野球選手の野球少年だった。

中学時代も野球をしていたけれど、その頃にはプロ野球選手への憧れはもうなく、友達としゃべるのが楽しかったから野球を続けていた。

高1の時から映画鑑賞にハマり、ミニシアター系のマニアックな映画を沢山見ていて、将来は映画を作りたいと思うようになるも、大学に行く気はなく、自分で働いて20代中盤から映画の世界に行くつもりで、大学進学を望んでいた親に納得してもらうために大手前短期大学に進学した。

その後、この世に「芸大」というものがあることに気付き、3年時編入で京都造形芸術大学の芸術学部映画学科に入った。

高橋伴明さんという有名な映画監督のゼミに入り、ゼミ生20人ぐらいで1本の映画を作るために小道具や大道具、AD、端役での出演など色んなことを経験した。

卒業後、映画の道に進むか一般企業に入るか悩み、1年間フリーターをして、その1年で方向性を決めようと考えた。

ナレーターを目指したきっかけ

思い返せば、昔から朗読のときなどに声を褒められることが多かった。

幼稚園の頃から母と一緒に図書館通いをしていて、本を読むことも好きだった。

小学生の頃は江戸川乱歩の怪人21面相が好きで、今でもミステリーや時代小説を好んで読んでいる。

本好きが高じて大学時代は3年間、西宮北口のブックファーストでバイトしていた。
行く度に新刊が入っていることが嬉しくて、最高の環境だった。

フリーターをしていた1年間で「朗読ができる仕事がしたい」と考え、東京のナレータースクールに半年間通学。
週に1〜2回、神戸から東京に新幹線で行って夜行バスで帰る生活をしながら、ナレーターとしての基礎を学んだ。

「とてもレベルの高い学校で学べて、人生の考え方が変わりました」

スクール卒業後、関西の事務所に所属し、実況アナウンサーやイベントMC、CMや企業VPのナレーションなど幅広く活動している。

2018年から続けているオリックスのスタジアムMCのお仕事では、大前一樹さんという声の仕事の先輩であり人としても慕っている方から心構えやイロハを学んだ。大前さんは局アナからオリックスの球団職員になり、オリックスで声の仕事を色々担当されていた方。

また、オリックスの初代スタジアムDJだったDJ KIMURAさんのことも尊敬していて「スタジアムDJという言葉はKIMURAさんの為に作られた言葉で、KIMURAさんは実際にDJをしながらアナウンスをされてたんです。だから僕はDJをしないのでスタジアムDJを名乗ることはできないんですよ」と熱く語ってくれた。

必殺!喉をケアする方法

試合中はほとんど水分を摂らないという神戸さん。プライベートではほとんどマスクもしていないし、喉のケアは一体どうしているのかとても気になっていたので、詳しく尋ねてみた。

「セロテープですね」

意外な答えが返ってきた。

「寝るときに口にセロテープを貼るんです。寝てるときに口が開いてると口呼吸になって鼻が通らなくなるし、乾燥して風邪を引きやすくなるので。喉のためにやってることはこれだけなんですけど、これが全てと言っていいぐらい効果があります」

そういえば初めて会った日もその話を聞いたのを思い出した。

「そうなんです。本当に効果あるので色んな人に話してるんですけど、今までやってみてくれた人は誰もいません(笑)」

医療用テープもあるのだが毎日のことなのでセロテープを使っているそう。

「コロナのときはマスクの下にセロテープを貼ってました。そのおかげかまだ1回もコロナに罹ってませんし風邪も引かないです」

それを聞くといいなと思いつつもなかなか勇気が出ないのですが、どなたかチャレンジしてみませんか?神戸さんは縦に4枚貼ってるそうです。

先祖は戦国武将?

神戸で生まれ育ち、神戸をこよなく愛している神戸さん。まさか苗字の由来は生田神社?と思って尋ねてみると「うちは三重県の方が由来らしくて、ハッキリしたことはわかりませんが神戸信孝という武将の系譜だと聞いてます。織田信長の息子で神戸氏の養子になった人らしいです」

伊勢平氏である神戸氏の末裔かもしれない上に織田信長の子孫かもしれないなんて、すごい家系だ。

神戸のおきにいりスポット

普段から神戸の街をぶらぶらするのが好きだという神戸さんのお気に入りスポットは、みなと温泉 蓮の前の第一突堤。ここで本を読むのが好きだそう。
あとは地下鉄に乗ってて妙法寺の手前で地上に出るところが好きだと話してくれた。
そして須磨水族園の閉館がさみしくて心にぽっかり穴が空いてしまったという。
この気持ちがわかる神戸っ子はきっと沢山いることでしょう。

ナレーターの仕事が嫌になったことは1度もなく、目標とする憧れの声はケイ・グラントさん。
これからも街に寄り添いながら、バリトンボイスのええ声でがんばってください。

この度はインタビューにご協力いただきまして、本当にありがとうございました。

編集長

編集長

神戸を愛し神戸に愛され続けて38年😆👍(つまり38歳)人と喋ることと文章書くことが好き過ぎて、うっかり編集長になってしまったタイプです。神戸及び兵庫県の『人』をクローズアップしたインタビュー記事をメインに、神戸っ子たちのコラムも充実♫ 地元の人にも神戸以外の人にも、軽〜く友達感覚で読んでもらえたらうれしいです😊💓

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