神戸にスケボーの天才少年がいる、という噂は前々から耳にしていた。
「あの歳であんなスゴい技いっぱいできるのは、ちょっと異次元レベルやで!」
「あんな小さい子やのに、もうスポンサーもいっぱい付いてるねん!」
「あれは確実に次のオリンピックの金メダル候補やと思う!」
私はスケボーのことが全く分からないので、そんな風に言われても「へぇ〜すごいね〜!」くらいに思っていた。
スポーツは野球しか、本当に何もわからない。
なのにそんな私の周りには、ナゼだか昔からローカルのスケーターが多く、彼らから熱く語られるその少年の話は印象に残っていた。
webマガジンを始めてすぐにその話を思い出し「よし!面白そうやから話聞きに行こ!」とツテを辿って、今回その少年とお父さんにインタビューさせてもらうことができた。
私のようにスケボーを全く知らないという方も、どうぞご一緒に、めくるめくスケートボードの世界をちょっとのぞき見する感覚でお読みいただければと思う。持ち物は好奇心だけで大丈夫です。
天才スケーター エマ 小学校2年生
その少年の名はエマくん。現在小学校2年生。
東京オリンピック金メダリストの四十住さくら選手も通っていた六甲アイランドにあるgスケートパークで練習を行っている。
『バーチカル』というほぼ垂直のランプを自由自在にスイッスイ滑る姿は、筋斗雲に乗った孫悟空みたいだった。
スケボー界の神と言われているトニー・ホーク選手にインスタで紹介されたこともある。
野球で例えるとジーターに「この子すごいよ!」と言ってもらったようなもんだ。
めちゃめちゃスゴい。
7歳にしてMadness skateboards、DC SHOES、187killer pads、Triple 8 NYC、Hazard wheels、GROM、Beans Company と、すでに7社がスポンサーとなって物品提供をしてもらっている。
野球で例えたら、ミズノ、ZETT、SSK、ローリングスとかが7歳の少年をサポートしてくれて、バットやグローブをタダでもらえるようなもんだ。いや、ありえへん、スゴすぎる。
スケボーを始めたきっかけ
エマくんは4歳のときにスケボーを始めた。
きっかけは、お父さんとスノボ用のワックスを買いにムラサキスポーツに行ったときにスケボーを初めて見て「やってみたい!」と思ったことだった。
お父さんとしては「じゃあスノボの代わりにスケボーやるか?」ぐらいの軽い気持ちで始まったという。
最初はお父さんがインスタやyoutubeを参考に見よう見真似で教えていたが、gスケートパークの年上の小学生たちに教えてもらったり、公共スケートボード場があるみなとのもり公園のスクールで学んだりするようになっていった。
gスケートパークは神戸で唯一バーチカルランプがあり、そこで出会った人たちに「スケボーやるならバーチカルやらなもったいないよ!」とアドバイスされたことを機に、名古屋のHi-5スケートパークまで出向いて、プロスケーターの笹岡健道さんのスクールで本格的に教わった。
現在はgスケートパークで、学校終わりの夕方から夜10時頃まで、ほぼ毎日練習に明け暮れている。
エマくんに「初めてバーチカル滑るとき、怖くなかった?」と聞いてみたら「全然怖くなかった!年上のお兄ちゃんたちが滑ってるの見て、自分もやってみたいって思った!怖いよりもみんなと一緒に滑れるのが楽しいって思った!」とイキイキ話してくれた。
やっぱりエマくんは、どこか悟空っぽい。
スケボーの大手メーカーがスポンサーに
エマくんがそうやって嬉しそうに、楽しそうに滑っている姿をインスタに載せていたら、アメリカの187killer padsやtriple eightというスケボーの大手メーカーからDMが来た。
「やぁ!スケボー楽しんでるかい?良かったら私たちのサポートを受けませんか?」
大体こんな内容が英語でダーッと送られてきて、当然お父さんも最初は「ホントに本物なのか?」と半信半疑でやりとりをしていたが、なんとホントに本物だった。
「この年齢のわりには上手いんかなぁとは思ってましたが、名古屋のHI-5には年上の上手な子たちがいたので、それに比べたらまだまだやなぁって感じやったので、まさかスポンサーがつくなんて思いもしませんでした。」と、お父さんでさえ驚きを隠せない。
その後もインスタにエマくんの動画を載せ続けていると、DCshoesやディストリビューションというアメリカ最大のメーカーもスポンサーになってくれることになった。
本場アメリカでは、スケボーのスポンサーランクが3段階ある。
まずはフローライダー(物品支給)
次にアマチュアライダー(物品支給+メーカーから給料がもらえる)
そしてプロライダー(物品支給+給料+自分のモデルが発売され売上の数%がもらえる)
エマくんは今、フローライダー。
オリンピック金メダリストの堀米雄斗選手などがプロライダーだ。
デッキ(板)やウィール(コマ)などは1ヶ月も持たずにボロボロになってしまうので、スポンサーから物品提供のサポートが受けられるのは、親としても本当に助かっているという。
スポーツを本格的にやるには、どうしてもお金が掛かる。
よくプロ野球選手が、女手ひとつで野球を続けさせてくれたお母さんにとてつもなく感謝しているのは、こういうことなのだ。
子供に才能があっても経済的な理由で諦めざるを得ないケースはスポーツに限らずよくあることだ。
それで才能の芽が潰れてしまうのは、仕方がないとはいえ、あまりにも悲しい。
だからスケボー界のこのシステムは、本当に素晴らしいと思う。
そんな恩恵に預かりながら、エマくんが目下挑戦している技は『フロントサイドのファイブフォーティーのステイルグラブ』。
1度だけ成功したことがあるが「完璧にできるようになりたい!」そうだ。
もう横文字だらけでなんのこっちゃかさっぱり分からないが、それを話すとスケーターなら誰もが「7歳でそれ?ヤバすぎやって!」と言うので、どうやらめっちゃスゴいことらしい。
野球でいうと、深めの痛烈なゴロを逆シングルでキャッチしてからすぐ体勢を立て直してノーバンで送球してアウトを取るようなものだろうか?そんな7歳がいたらビックリする。
次回はそんな天才スケボー少年エマくんの今後の目標や、関西のスケボーシーンがもっと盛り上がっていってほしいと願うお父さんの壮大かつ具体的な展望のお話です。
来週もお楽しみに〜。
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