神戸は坂の街なので、大丸神戸店には「山側」「海側」という方向案内板があることも有名だ。
神戸で「山側」といえば北で、「海側」といえば南を指すと相場が決まっている。
なので日本海の方に行って海が北にあると言われると一瞬混乱してしまう。
かといって神戸の人が南北のことを「海側」「山側」と言うかというと、そういうわけではない気がする。
少なくとも私の周りでは、北は「上」で南は「下」と表現される。
私たちの時代、兵庫区の子は公立高校の場合、北区と同じ学区だった。
山側にあたる北区の子たちのことは「上の子」、兵庫区の子たちのことは「下の子」と呼び合っていた。
「下の子」である兵庫区の子たちは、海と山に挟まれた場所に住んでいるので、北のことを「上」、南のことを「下」と言いがちな風潮がある。
「この道もうちょっと上あがったとこに美味しいお店あるから行こか?」
「そっからずーっとまっすぐ下降りてったとこにおる!」
それだけで通じてしまうので、アホな私は愛知に遊びに行って向こうの友人の車に乗せてもらってるときに「行きたいとこ、どの辺にあるん?」と聞かれて「もーちょい上!」と意気揚々と答えて「上ってどっちよ!?笑」と大変困惑させてしまった思い出がある。
Googleマップを見て、目的地は北だと言いたくて「上!上!」とのたまったのだ。
その時に初めて神戸以外でこの言い方が通じないことを学んだ。
「ちゃうねん、神戸では北のこと上って言うねん!笑」と弁解し、帰宅後、旦那にその話をして「な!北のこと上ってゆーてまうやんな?」と共感を求めたら「いや、だからってよその土地行ってまでは言わん。それはお前がアホすぎるだけや」とバッサリ切られた。
上と言われたら普通は「高さ」をイメージすると聞いて衝撃だった。
とゆーわけで、この話は自分のアホさを承知の上で恥を忍んで書いている。
これは坂の街で南に海があるところでしか通じない条件付きの合言葉だ。
京都の「上がる下がる」にも似ているけど、あれは由来が都関係なのでまたちょっと違うしなぁ。
もしかしたら、これを書くことで「え、そうなん?神戸以外で上=北って通じへんの!?衝撃やねんけど!」と初めて知るお仲間がいるかもしれないという期待を込めて、そんな方の為にお伝えする。ね、ほんとビックリですよね笑!
その件以来、これは神戸か尾道とかでしか通じないんだと肝に銘じ、よその土地ではちゃんと東西南北で表現するよう心掛けている。
それでも未だに沖縄本島の東西南北は私は理解できていない。
どうしても脳内では地図と線対称にイメージしてしまい、やんばるなどの北部は「南にあるのになんで北部なんやろ?不思議やね♪」と思ってしまうほどのアホだ。
もうアホ界におけるみなさまのお墨付きだ。
だから沖縄本島の西海岸、東海岸も、とっさにはどっちがどっちかわからない。
その点では神戸という単純構造な街は本当に私に合っていると思う。
これからも「あそこのライフのちょっと上にカフェできてるやん」「あの子は今あそこのローソンのすぐ下に住んどーねん」と楽しく神戸の南北を表現していきたい。
地元のスーパーやコンビニの場所を目印に道の説明をしがちなのは、きっと全国区レベルであるあるな気がする。
アホでも他人様に迷惑を掛けなければいいと思ってはいるが、実は自分が1番困っている。
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