前回コラムの「神戸は都会か否か」について行きつけの美容院のスタッフと話していたら、山陰出身の彼は「神戸は都会やと思います。でも神戸は車いるんですよね、大阪市内ならいらんのですけど」と言った。
それ。
都会かどうかの判断基準、それです。
私は車が必要なレベルの都会である神戸のほぼ中心である兵庫区出身。
とはいえ陸の孤島のような我が町では、幼い頃から自転車が相棒だった。
だから盗られるとすごく困ったし、サドルだけ盗られるとさらに途方に暮れた。
周りもみんなそんな感じだったので高校生になって北区の友人たちが「自転車って乗ったことない」と言っていたときは衝撃だったし、それぐらい自転車は誰の側にも必ずあるものと信じていた。
それでも兵庫区民はめげずに自転車に乗り続け、今も地元の友人とはママチャリで並走して語り笑い合いながらどこまででも行く。
自転車の仕様以外は小学生の頃と何ひとつ変わっていない。
それどころか娘が幼稚園に入園してから、さらに仲間は増える一方だ。
あまりにもチャリ族が多いので、園のママ友たちに尋ねてみた。
「車の免許、持ってますか?」
「免許持ってないんです〜」もしくは「ペーパードライバーなんです〜」という声しか返って来ず、これは地元と同じ現象であり私自身も同類である。
街の中心部に住むと車よりどこにでもひょいと停められる自転車の方が断然便利なのだが、ついついそのままどこまででも行ってしまうので走行距離が車レベルになっている人も多い。
幼稚園のママ友で1番の猛者は、なんとポートアイランド(海側の人工島)から山の中腹にある幼稚園まで自転車で通っている。
片道5キロを1日2往復していると涼しい顔で言っていた。
その日はたまたま神戸大橋でタイヤがパンクしたため、そこから3キロほど自転車を押しながら歩いて坂を上ってきたというのに涼しそうだった。
この話を地元の友人に話したら「うちのお姉ちゃんなんか長田からポートアイランドの病院までママチャリで通ってるで」と誇らしげに姉の片道8キロ話を繰り出してきた。
その友人の最高距離は自宅から垂水のアウトレットまでの片道13キロ。
私の最高は六甲道から長田までの片道12キロ。
自転車に乗る習慣の無い人からは色んな意味でいつも驚かれるが、チャリ族は長距離自慢が大好きなのである。誰も褒めてないのに。
体感では兵庫区、長田区、中央区、灘区の人しかこれほど縦横無尽に神戸を自転車で乗り回してないような気がしている。
他の神戸での自転車はあくまでもご近所用なイメージだ。
夏は暑くて冬は寒い自転車を、なぜ私たちはこれほどまでに酷使するのか。
書いてみて謎はさらに深まってしまった。
地元の友人たちと協議の結果、今のところポートアイランドから通っているのに電動じゃない普通の自転車に乗っている私のママ友が暫定1位ということになっている。
全国大会を目指して私は細々と神戸ママチャリ図鑑を作成中だが、大会の趣旨は不明だ。
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