郡山高校の村田君。
この選手は私が高校野球を好きになるきっかけになった人であり、初めて私に「甲子園の土」をくれた人です。
1998年の春、夜のスポーツニュースで、郡山高校が北照高校に勝利した話題が。
その中で「昨年、自身のエラーで負けてしまったショート村田君のところに今年も最後の打球が飛びましたが、今度は見事にさばいてチームを勝利に導きました!」と言っていて、「去年は自分のエラーで負けてしまったのに、今年は自分が最後の球をさばいて勝つなんてカッコ良すぎる!」と勝手に感動して目を腫らすほど大泣きし、それ以来、高校野球が大好きになりました。
その「昨年」の件は全然知らなかったのですが、どうやらコトの流れはこうでした。
1997年のセンバツ1回戦での奈良の郡山高校と北海道の函館大有斗戦。
9回裏2アウトの場面で、2年生ショート村田君がトンネル。郡山高校はサヨナラ負けを喫してしまう。
翌春、主将となって甲子園に戻ってきた村田君は初戦でまた因縁の北海道勢・北照高校と対戦し、最後の打球は奇しくも再びショートへ飛ぶも、今度はきっちりさばいて勝利。
ニュースの中で、試合後のインタビューに答える村田君の表情を今でも鮮明に覚えています。
「去年は自分のせいで先輩方の甲子園を終わらせてしまったので、絶対来年またここに戻ってくるぞと思っていました」という主旨の発言と表情とがピッタリ一致しているのが分かるというか。
的確な表現ができなくてもどかしいのですが、本気で全力で日々野球に取り組んできたことがしっかり伝わってきて、高校野球って、なんてドラマチックな現実なんだろうと思いました。
チームはその後センバツベスト8まで勝ち進みましたが、夏は県大会3回戦で惜敗。
当時の私の日記によると
「この記事を見た瞬間、涙がポロポロこぼれてきた。でも、3年間がんばったみんなに、月並みな言葉だけど“感動をありがとう”と言いたい。オツカレさまでした。(原文ママ)」だそうです。
中二病の諸症状を感じますが、今も大してスタンスが変わっていないことをもっと恥入り猛省しないといけませんね笑。
ただ、ここで終わらないのが私の恐ろしいところです。
夏、甲子園で見られなかった村田君をどうしてもひと目見たくて、郡山高校の文化祭に行くことを思い立ちます。
今考えたらネットも普及してなかったあの時代に一体どうやって調べたのか謎すぎますが、1998年9月初頭、私は高校野球には全く興味無いけど好奇心旺盛な友人と共に、郡山高校の文化祭に奈良まで突撃。
たこ焼きを焼いていた村田君を発見するやいなや「村田君に会いに神戸から来ました!一緒に写真撮ってください!」とお願いしました。
村田君は快く撮影に応じてくれた上に「ちょっと待っといて!」と言い残して部室に走っていき、しばらくするとまた走って戻ってきて、甲子園の土が入った紙と数枚の写真をくれました。
自分に会うために神戸からはるばるやってきたというおぼこい少女に何かしてあげたいと思ってくれたようです。
今でも、一式、大切に持っています。
初めて好きになった選手に、これだけの神対応をしてもらえたことは、その後の私の25年に及ぶ高校野球愛の大きな地盤になっています。
もしこのとき邪険にされていたら、私はその時点で高校野球を好きでいられなくなっていただろうなと思うと、人との出会いって本当に大切だなぁとしみじみ思います。
最初に好きになった選手が村田君で本当に良かったです。
文化祭の日、村田君に「エースの竹村君とも写真撮りたいです!」と調子に乗ってお願いしたら、わざわざ呼びに行ってくれて、竹村君にも会って写真を撮ってもらうことができました。
あの中3の時の郡山高校の文化祭は、高校時代の自分の学校の文化祭よりも、1番青春だったなぁと思います。
憧れのお兄さんだった高校球児が、内面も素敵な人だったことは、今だにうれしくてたまりません。
この郡山の文化祭の件を皮切りに、私は今に至るまで、高校野球界のあちこちで、このような心温まる親切に遭遇してきました。
その一つ一つに対する感謝の気持ちが、高校野球そのものへの愛にどんどん循環していってる感じがします。
ただ、向こうはそこまで喜ばれるようなことをしたと思っていないケースも多々ありますが笑、「でもそんな風に思ってくれて、なんかありがとう!」と言ってくれる、真剣勝負の戦いの場に生きながらも心根の優しい人々ばかりが今も周りにいてくれてます。
意地でも言ってくれない後輩もいるけど笑。
この村田君の話は、本当はもっと文章力の向上が見られるようになったら書こうと思っていたのですが、それを待ってたら永久に書けない割には、なぜ私がこんなに高校野球が好きかのスタート地点の話だから早く書きたい気持ちとで、せめぎ合い続けていました。
とにかく書いてみましたが、もっと良いモノが書けそうだと思ったら、また改めて書き直したいと思います。
書き終えた今も、郡高音頭が頭の中で鳴り響いています笑。
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